安定性と柔軟性に重要:3つのサブシステム
こんにちは、ひろかずです。
日々のセラピーのなかで「安定性」や「柔軟性(運動性)」というワードを使うことは多いと思います。
例えば脳卒中のケースにおいて、
・「体幹の不安定が強く座れない」
・「足関節の柔軟性が乏しく歩きにくい」
など表現することがあると思います。
「安定性」や「柔軟性」が低下または不足▷正常に近づく▷パフォーマンの向上につながります。
何気なく使う「安定性」と「柔軟性」の表現ですが、どのようなシステムによって構成されているのでしょうか?
今回は、「安定性」と「柔軟性」を構成するシステムについて、3つのサブシステムから考えていきます。
疾患問わず考えられる概念かと思います。
Foot core system
Foot core system[1]から、足部内在筋のアクティブに活性化することの重要性が示されています。
構成される3つサブシステムの相互作用が大切です。(詳しく知りたい方は原著参照してください)
脳卒中片麻痺ケースの足部をイメージしてみます。
・Passive subsystem
▷距腿関節のマルアライメント/制限
・Neural subsystem
▷(入力系)固有感覚の低下/(出力系)筋不活性
・Active subsystem
▷足部内在筋のweaknessまたは萎縮
かなりざっくりですが、このような感じでしょうか。
大切なポイントは、これら3つは関連していていることです。
Active subsystemの活性化により、「足がふんばりやすい」「支えやすい」というような感覚が変化すれば、Neural subsystemが作用していると考えられます。
常に3つセットで考えながら、「どこのシステムへ働きかけているか?」と自分のセラピーを客観的に考えることが大切かと思います。
脊柱安定化システム
脊柱安定化システム[2]も同様に3つのシステムが示されています。
(Foot core systemは、脊柱安定化システムの概念をベースに作成されているみたいです▷詳しくは原著参照してください。)
体幹・脊柱における3つのサブシステムの構成は、
・Passive subsystem
▷椎骨、椎間板、靭帯
・Active subsystem
▷筋、腱
・Neural subsystem
▷神経と中枢神経系
とされています[2]。
例えば、一つのサブシステムの働きが悪く、不均衡がおこると「痛み」を引き起こすかもしれません。
関節可動域へのアプローチは?
関節可動域へのアプローチは、骨関節の可動範囲の拡大を目的します。
これはPassive subsystemへアプローチしているということでしょうか?
股関節疾患のケースをイメージします。
一足の下肢の重さは約10kg(だいたい50kgの体重比で)
→下肢関節可動域へのアプローチ:「10kgの重さを感じるか?」
多分ですが、動かす側は「10kg」より軽く感じるかと思います。
股関節疾患のケースはNeural systemは損傷を受けていません。
神経系が作用し、姿勢緊張が働いているため「10kgより軽い」と感じるのだと考えられます。
こう考えるとシンプルな関節可動域へのアプローチですが、かなり奥深いですね。
ケースに応じて考えられることはたくさんありそうです。
TKA術後で考えてみる
痛みの経過が長く、我慢して生活していた方。
術後痛みはなくなっても、すぐに歩容は変わらないことが多いです。
3つのサブシステムで考えてみます。
・Passive subsystem
▷人工関節
・Active subsystem
▷筋の侵襲、短縮、弱化
・Neural subsystem
▷病前歩容の筋動員パターン
術後のNeural subsystemのポジティブな変化は、きれいに歩くために大切なポイントかと思います。
まとめ
今回は、「安定性」と「柔軟性」を構成するシステムについて、3つのサブシステムから考えました。
Passive/Active/Neural subsystemの概念は、基本的ですがかなり大切かと思います。
自分の担当するケースに落とし込んで考えていくと、セラピーの考えが深まると思います。
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも明日の臨床につながれば幸いです。