重力と身体の参照枠
こんにちは、ひろかずです。
脳卒中後のケースは、自分の身体への気付きが乏しくなることがあります。
・麻痺した腕(足)の認識が乏しい
・車椅子から腕が落ちている
・フットレストに足を置いたまま立ち上がる
一度は経験があるかと思います。
なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
重力と身体の参照枠の観点から、ポイントをおさえて考えていきます。
身体の参照枠と外部環境
無重力環境で、複雑な触覚刺激(文字と数字)の向きの知覚[1]から
外部環境の変化に対し、身体の参照枠は安定して保たれることがわかっています。
つまり、自己の身体への気付きの乏しさに、重力自体はそれほど影響ないと考えられます。
空間と身体の参照枠
空間に対して、垂直性を保持するためには、多重感覚(視覚・前庭・体性感覚)の知覚が必要となります。
脳卒中後のケースは、多重感覚に問題を呈しているケースが多いです。
発症からの期日が長くなると、次第に適応が起こってきます。
「まっすぐ立ってます」と言うケースも
姿勢を観察するとが非対称となっているケースも多いです。
明らかに曲がっている、非対称性があるというケースも本人にとって、その姿勢で垂直性を知覚しているわけです。
自己の身体の気付きの乏しさは、多重感覚の知覚から適応した結果である可能性があります。
身体をどのように知覚しているか?
ケースがどのように身体を知覚しているか考えてみましょう。
例えば、ケースに質問すると
「腕(足)が重たい」
「朝起きると身体の下になってる」
「動く感じがしない」
など、さまざまな表現をします。
ケースがどのように身体の知覚を表現するか、大切なポイントです。
あるいは、紙とペンを用意し「ヒトの絵を書いてください」と描いてもらう方法もあります。
過去に、麻痺側下肢が極端に細い、アンバランスなヒトを描くケースがいました。
ここから、「麻痺側下肢の知覚が乏しいのかな?」と想像したりしました。
また、複雑な触覚刺激(文字と数字)の向きの知覚の評価[1]から考えてみるのも良いかもしれません。
方法は、個々にあったものを選択し、経過を観察していくと一つの評価バッテリーとなります。
アプローチを考える
視覚・前庭・体性感覚に変化を与え、評価と治療を展開していくと良いかと思います。
視覚は、目線の高さ、注視・追視、閉眼など
前庭は、頚部運動(回旋・側屈・屈伸)など
体性感覚は、筋、ゴルジ腱器官など
個々のケースで、感覚の重み付けは異なるので効果的なアプローチを模索できると良いです。
まとめ
重力と身体参照枠について、脳卒中後ケースの評価からアプローチまで考えてみました。
臨床は筋書き通りいかない点も多いですが、個々の症例に向き合い「この現象、なんで?」と疑問を持つことが第一歩かと思います。
以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。