【脳卒中】立位の安定は感覚統合が重要

Clinical

【脳卒中】立位の安定は感覚統合が重要

こんにちは、ひろかずです。

本日は、立位の安定は感覚統合が重要、というテーマです。

健常人は「立つ」ことを無意識に、努力することなくできます。
脳卒中になると「立つ」ことが難しく、努力を要し、その先の「歩く」ことを制限される方が多いです。

安定して立つためには、感覚(入力)統合についての理解が重要です。

運動と感覚は表裏一体

「動きのコツ」「動きやすい、動きにくい」など日常的に聞きます。
運動と感覚を切り離して考えることはできません。

脳の視点で考えると、運動はアウトプット、感覚はインプットです。
目に見えるアウトプットから、見えない(わかりにくい)インプットを考えなければなりません。

本質的な問題を捉えるには、知識の理解と素直に観察することが大切です。

「立つ」ことは感覚統合

脳にエラーが生じると立つことは途端に難しくなります。
それは、立つことは複雑な感覚統合により成されているためです。

・In a well-lit environment with a firm base of support, healthy persons rely on somatosensory (70%), vision (10%) and vestibular (20%) information.
・安定した支持面の明るい環境では、健康な人は体性感覚(70%)、視覚(10%)、および前庭(20%)の情報に依存している。

FAY B. HORAK.Postural orientation and equilibrium: what do we need to know about neural control of balance to prevent falls?.Oxford University Press on behalf of the British Geriatrics Society.2006

安定して立つには、視覚・前庭・体性感覚の統合が重要と言えます。

環境の変化に合わせて、重視される感覚は変化します。

暗闇では視覚を優先できませんし、不安定な支持面では体性感覚の入力は少なくなるかもしれません。

視覚・前庭・体性感覚の役割

・Vestibular sensory cues detect deviations of head orientation from earth-vertical (gravity), visual sensors detect head orientation relative to the visual world, and proprioceptors detect leg orientation relative to the support surface.
・前庭感覚の手がかりは、地球の垂直(重力)からの頭の向きのずれを検出し、視覚センサーは視覚世界に対する頭の向きを検出し、固有受容器は支持面に対する脚の向きを検出します。

Peterka, R. J. Sensorimotor integration in human postural control. J Neurophysiol 88: 1097–1118, 2002

アウトプットとして観察される「立てない」は、背景となるインプットによります。

めまいによって立っていられない、足底感覚の鈍さでふらふらする、目が見えず立つのが怖い…

各感覚の役割を考えながら「なぜ立てないのか?」を明らかにできるとパフォーマンスは変わります。

臨床実践から主要問題を探る

本質的な知識をベースに臨床実践から主要問題を探るのが良いと思います。
ハウツー的にこうすれば良いという答えは、それが通用しない場合に思考停止してします。

遠回りかもしれませんが、一症例ずつ丁寧に考察していくと「立位の感覚統合について」の理解が深まると思います。

 

本日は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました