【片麻痺】上肢の筋活性化パターン

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【片麻痺】上肢の筋活性化パターン

こんにちは、ひろかずです。

 

片麻痺ケースの上肢筋活性化のパターンを考えるとき

 

・どうにか空間保持ができる
・なんとかモノをつかめる
・腕が伸びにくい

 

こんな臨床像をイメージするかと思います。

上肢を動かすことが難しい重度麻痺のケースはパターンを考えることって少ないかと思います。

ですので、今回はどうにか上肢が動かせる片麻痺ケースをイメージして考えていきます。

筋活性化パターンって?

そもそも筋活性化パターンってなんでしょう。

the underlying neuromuscular mechanisms of hemiparesis include: 
1) loss of functioning motor units
2) changes in recruitment order of motor units 
3) changes in the firing rates of motor units 
片麻痺の根底にある神経筋メカニズム
1)機能している運動単位の喪失
2)運動単位の動員順序の変化
3)運動単位の発火率の変化

Joanne M. Wagner,et al. Upper Extremity Muscle Activation during Recovery of Reaching in Subjects with Post-stroke Hemiparesis.Clin Neurophysiol. 2007

筋肉が活性化の背景にある神経筋メカニズムです。

 

これら神経生理的なメカニズムから決定される

筋活動の組み合わせが筋活性化パターンと言えます。

 

筋活動を評価するってことは、すなわち神経の働きをみていることになります。

 

臨床場面では、この神経の働きは直接目で見えないかもしれません。

(厳密には機器などでみれるけど、現場の多くは臨床像から捉えているのが多いかと)

 

セラピーにおいて筋活動を、触診する、アシストする、強める、弱める など

 

これらは、神経の働きを考えつつ筋活動を捉える視点が大切です。

【片麻痺】リーチ動作の質的評価

片麻痺ケースは、上肢は屈曲パターンを呈しやすく、伸ばす運動が制限されやすいです。

 

「目の前にあるモノを掴むために手を伸ばす」

 

リーチ動作のパターンを観察するとき、何に着目しますかね。

 

 

よくあるのが、

モノを「つかめる」or「つかめない」

「できる」or「できない」

というような意見。

 

「できる」「できない」のみの話ってなかなかセラピーにつながりにくいです。

 

で、どうしたらいいの?って感じです。

 

ここでは、どのように質的な評価をすればよいかを考えてみます。

 

EMG traces for 6 UE muscles during reaching for a control subject (A, B), and a hemipretic subject during the acute (C, D) and subacute phase (E, F) after stroke. All EMG traces start 200 ms prior to start of reach and continue to target touch. 
リーチ動作の6つの上肢筋:対照被験者(A、B)、脳卒中後の急性期(C、D)および亜急性期(E、F)の片麻痺性被験者のEMGトレース。 すべてのEMGトレースは、リーチ開始の200ミリ秒前に開始し、目標にタッチし続ける。
 AD =三角筋前部、PD =三角筋後部、BIC =上腕二頭筋、TRI =上腕三頭筋、WF =手首屈筋、WE =手首伸筋。

Joanne M. Wagner,et al. Upper Extremity Muscle Activation during Recovery of Reaching in Subjects with Post-stroke Hemiparesis.Clin Neurophysiol. 2007

こちらの研究では、脳卒中後片麻痺者はリーチ動作の回復にともない上肢筋活性化がどのように変化するか?ってことが書かれています。

 

ここから臨床で考えることは、

 

・近位筋と遠位筋はどうか
・リーチ動作のスピードはどうか
・タイミングはどうか

 

このへんがポイントかと思います。

近位筋と遠位筋

例えば、リーチ開始で手指屈曲が強くなるケース。

 

近位筋が遠位筋に先立って活性化することから、

 

三角筋や上腕三頭筋をアシストすることで腕が伸びやすくなるか検証してみるといいかと思います。

リーチ動作のスピード

リーチ動作のアシストをするとき、回復過程にあわせたスピードを意識すること。

 

なにも考えずにアシストすると、動きが速すぎて筋活動が追いつかない

 

ってことは多いのではと思います。

 

感覚的ですが、うまくいっているときは動きについてくるように軽くアシストできます。

タイミング

筋肉をアシストするときにどの筋肉を狙うか、これは結構大事です。

 

リーチ動作の組み合わせの中で、各筋肉のタイミングを探っていけるといいと思います。

 

まとめ

片麻痺ケースの上肢筋活性化のパターンについて考えてみました。

 

リーチが大変なケースを表現するとき、「屈曲パターンが強いのが問題」

 

これだとざっくりで何をセラピーしていいかわかんないですよね。

(そうならないようにいつも気をつけてます…)

 

 

どの筋肉に、どのように、なぜアプローチするか

 

 

こんな感じで深堀りしていけるといいのかな、と思います。

 

 

以上です。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

少しでも明日の臨床につながれば幸いです。

 

References
  1. Joanne M. Wagner,et al. Upper Extremity Muscle Activation during Recovery of Reaching in Subjects with Post-stroke Hemiparesis.Clin Neurophysiol. 2007
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